大阪市立大空小学校。大阪市住吉区にある公立小学校。2012年度の児童数・約220人のうち、特別支援の対象となる数は30人を超えていたが(通常学級数6・特別支援学級7)、すべての子供たちが同じ教室で学ぶ。教職員は通常のルールに沿って加配されているが、地域の住民や学生のボランティアだけでなく、保護者らの支援も積極的に受け入れた「地域に開かれた学校」として、多くの大人たちで見守れる体制を作っている。学校の理念は「すべての子供の学習権を保障する学校をつくる」であり、不登校はゼロ。唯一のルールとして“自分がされていやなことは人にしない 言わない”という「たったひとつの約束」があり、子供たちはこの約束を破ると“やり直す”ために、やり直しの部屋(校長室)へとやってくる。テレビ版「みんなの学校」の放送後には全国各地から、支援を必要とする子どもたちが数多く、校区内へと引っ越している。
2006年4月の開校時から大空小学校の校長を務める。「すべての子どもの学習権を保障する」という理念のもと、教職員や地域の人たちの協力の下で大空小学校を作ってきた。教師歴は40年を越えるが、校長となったいまでも子供たちと直接話す機会が多く、1年生と6年生の体育も受け持つなど、学校のすべての子供たちのことを知っているベテラン教師である。「自分がされて嫌なこと」を他の子にしてしまった子供たちは校長のもとに来て、「やり直すこと」を誓う。
4年生となる4月に、大空小学校へ転校してきた男子児童。以前は同じ大阪市内にある別の小学校の特別支援学級に通っていたが、その学校では校内で2時間ほど過ごすのが限界だった。「少しでも長く通える学校に」と考えた彼の母はいくつもの学校を見学し、大空小学校の校区内に引っ越した。転校直後は「大空を引退します!」が口癖で、たびたび学校から抜け出そうとする。
6年生。まだ開校から2年目だった彼の入学時には「あの子が行くのなら、大空小はやめとこう」という噂が立てられるほどの存在だった。両親ともに早朝から働いていて、生活が不規則になっているため、朝寝坊して学校に遅刻することも多い。
言葉は持たないが、授業中などに大きな声を出しながら歩くこともある。水や砂の感触が好きであり、学校という場も友達も教職員のことも大好きな6年生。
マアちゃんとは双子の兄弟で、教室を走って抜け出すことがよくある。いたずら好きで、気が強い性格であるため、「たったひとつの約束」を破って校長室にやり直しに来ることも多い。
活発で気が強く、相手が先生であっても気持ちに引っかかることがあれば、きっちりと自分の意見をいう4年生。3学期になって、友達に暴力を振るうことが増えてきた。
大阪市内の別の学校から転校してきた3年生。前の学校にはほとんど通っておらず、そこの校長からは「すぐキレて乱暴になり、自分で考える事もできません」という申し送りとともにやって来た。
大空小学校6年目。特別支援コーディネーターとして、すべての学年・クラスを回り、支援が必要な児童と関わる。大空小学校の「支援が必要」という概念は、特別支援学級に所属することに限らず「困っている子」なら誰でも支えるが、その支えは児童だけでなく時には大人にも向かう。
大空小学校7年目。養護教諭だが保健室にはほとんどいない。職員室や支援の必要な子の教室だけでなく、時には休んでいる子の家にも足を運ぶ。木村校長や南都先生と同様に、学校全部の子供のことを、家庭の状況も含めて把握している。
大空小学校に赴任したばかりの中堅の教師。40人足らずの中に特別支援の対象者が10人いる6年生をベテラン教師とともに受け持つこととなり、とまどいながらの大空小1年目が始まる。
大空小学校2年目の講師。この年、初めて担任として4年星組を受け持つ。隣のクラスにセイシロウが転校してきたこともあり、経験は少ないながらも、成長期で扱いの難しい4年生たちと向き合う。
大空小学校5年目の管理作業員。毎朝、校門で出迎えているためか、子供たちの異変や家庭状況には敏感に気づく。先生とは少し違った存在であり、彼を慕う子供たちも多い。
地域に住む女性で、開校から大空小学校を支える。毎朝、カズキたちの住む地区からの集団登校につきそって学校へ来る。通学や教室での子供相手のボランティアだけでなく、学校の学習農園や校庭の草を抜くといった行為もいとわない。